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試写会など日記 
アーカイブについて
 昨年(2004)の6月から始まった“試写会など日記”。元々はメルマを充実させるための企画として始まったのですが、今ではこれを楽しみにしていてくれる人も多いようで嬉しい限りです。率直な意見が聞けるという声もありますが(ま、そのあたりのことは担当者の心を覗かなければ判らない部分もあるのですが)、希望の多かったこの“試写会など日記”のアーカイブを月別にUPしていきますので、文体の差、手を抜いているな、あの作品をこう思っていたのか、こんな作品があったんだなどお楽しみください(原文は基本的に発表時のままです)。


■過去記事一覧

11月×日 この日は打ち合わせで恵比寿へ。あ、リキッドルームってここの出来たのね。もう、あの階段を上り下りする必要はないんだ、以前、この辺で働いていたときよりもずいぶんと変わっているねと思ったり、感じたり。打ち合わせ、その後にやることもあったので、久々に行きたかった“中南米音楽”には顔を出せず。帰りの電車で宣伝会社の方に偶然会う。公開も相次ぎ、本当に大変そうだ。

11月×日 『ブエノスアイレスの夜』の試写。ピアソラの映画でも曲を使っているわけでもない。『オール・アバウト・マイ・マザー』のセシリア・ロスと『モーターサイクル・ダイアリーズ』のガエル・ガルシア・ベルナルが主演している余りにも痛すぎる作品。観終わった後、余りにも痛すぎて、言葉も出なくなるほどだった。この作品は現在を舞台としているが、その裏に横たわっているのはアルゼンチンが軍事政権に支配されていた時代である。そこでは多くの者が不当な扱いを受け、残虐されてきた。セシリア・ロス演じる主人公はそうした記憶からアルゼンチンを離れ、スペインに暮らしている。数年に1回しか帰郷しない彼女だが、父親の危篤の一報を聞き、帰郷する。ガエルは彼女の友人が経営するモデル(愛人)クラブのこれから売り出していこうとする若者である。彼女と彼は変わった関係を持ち、思わぬ形で惹かれあっていくのだが・・・という物語のこの作品は、主人公の視点ではなく、周囲の人物の視点も交えながら、彼女や家族たちの過去、忘れ去りたい物語が立ち上がってくる。その構成自体も音楽のピースのようで面白い。音楽も本当に素晴らしい作品なのだが、監督はセシリア・ロスの旦那でミュージシャンだということを観終わってから知りました。しかし、ここに出る登場人物は誰ひとりとして悪人はいない。だからこそ痛すぎる。軍事政権時代を前面に押し出さず、見事にその時代の痛みを伝えきっている作品だと思う。これも期待していなかったので、思わぬ発見だった。

11月×日 夜、うちで『ザ・コケッツ』というドキュメンタリー映画のビデオを観る。コケッツは60年代の終わりにサンフランシスコで自然発生的に結成され、一大センセーションを巻き起こした劇団。僕はどこかで名前を聞いた気がするんだけど、内実は全く知らなかった。当時のサンフランシスコはヘイト地区(ヘイトアシュベリーね)を中心にヒッピームーブメント、そしてカストロ地区を中心にゲイのメッカがあった都市であった。戦前の服、ぎらぎらした格好で女装した今でいうドラッグ・クイーンたちを中心に自然発生的なパフォーマンス集団から劇団へとなっていたのがコケッツだったのだ。作品はそんな彼らの生き残りの証言、当時の映像を元に短くもパワーにだけは溢れ、はちゃめちゃだったコケッツの歴史を振り返っていく。ドラッグまみれで(このために多くのメンバーが亡くなった)、大半がゲイで、コミューンに暮らす彼らは大評判になっていったが、結局、ニューヨークでの公演がこけて、消滅していく。コケッツ自体もめちゃくちゃで面白いのだが、これが受け入れられた時代背景(当時のアメリカの西と東の差など)を考えると更に面白い。ロサンゼルスのフラワームーブメントもサンフランシスコのヒッピームーブメントも実質的には数年で消えていったのが分かるし、その自由な雰囲気が蔓延していたからこそ受け入れられたのが、コケッツだったのだ。この時代、ドラッグクイーンに興味のある方は必見でしょう。ジョン・ウォーターズや彼の映画ではおなじみのディヴァインも登場しています。この自由な雰囲気の時代が終わった後にやってくるのは、ディスコと有名人のゴシップの時代である。それは政治運動などを含めて、自由な雰囲気の持っていたもの、理想に嫌気がさしたんだろうなと個人的には感じるのだが。

11月×日 この日は雑務。夜、行く予定だった『Mr.インクレディブル』の試写にも足を運べず。残念で仕方がない。家に帰ったら、今度は別の雑務で夜中までかかる。

11月×日 グイネス・パルトロウ主演の『シルヴィア』の試写。死後にピューリッツア賞を受賞した女性詩人シルヴィア・プライスの人生を描いた作品。というよりは、夫でこれまた高名な詩人であったテッド・ヒューズとの運命的な出会いと破局から彼女の死までを描いた作品。最初はシルヴィア・プライスについてほとんど思い出さなかったのだが、観ているうちに「あ、この人はああして死んだんだ」と気づく。弾流しの直前に彼女との思い出の1冊を出し、欧米で話題となったことも。シルヴィアはこういう作家、アーティストにありがちの繊細な女性なのだが、グイネスはそれを熱演している。映画もふたりが出会った頃の詩の朗読をし合うシーンなどは面白い。ただ、彼女の作品のすごさなどがどうしても伝わってこないのが(これは字幕で読む部分もあるのだろうが)、残念。これは恋愛に重きを置いたからなんだろうけれどもね。観ているうちに本当につらくなっちゃいます。
  夜はニール・ヤングの映画『グリーンデイル』の試写。彼の最新アルバム、来日公演でも舞台で演じられた架空の町グリーンデイルを舞台にアメリカの姿を描く映画だ。映画といっても、すべてがニールヤングの曲、それにあわせた登場人物の動きで綴られていく。ブッシュJrが勝ってしまった直後にこれを観るのは重かった。いい内容の作品だが、当然ニール・ヤングやロック好きにしか勧められない部分もある。アメリカに興味があるなら、観てみると面白いと思う。アルバムと同様に上映はコンサート用のPA使用で最高でした。

11月×日 ファレリー兄弟の新作『ふたりにクギづけ』の試写。双生児が主役ということで日本での公開も危ぶまれていたというこの作品、ファレリー兄弟が双生児を茶化すわけはなく、双生児やハンディキャップのある人たちへの温かさに満ちたいい作品だった。勝手な自己判断でこれを公開しないこと自体が差別じゃないんだろうかと個人的には思うのだが、とにかく公開できたことを喜びたい。内容もファレリー兄弟らしい下世話さはないので、多くの人に受け入れられるのではないだろうか。ネタ枯れといわれるハリウッドだが、こういう作品も出てくるんだよね。でも、プロデューサーたちは怖がって、企画から完成まで10年以上の歳月を要したとか。ヒットメイカーのファレリー兄弟でなければ、陽の目を見なかったのではないだろうか。笑えて、感動できますよ。

11月×日 『キャロルの初恋』というスペイン映画の試写。スペインの内戦を背景にアメリカから母親と一緒に母親の故郷であるスペインにやって来たキャロルという女の子がそこでであった最初は意地悪な男の子と初めての恋に落ちるという話、一緒に暮らす母親、おじいちゃん、内戦に義勇兵として参加している父親への想いを描いている。内戦は緊迫しているが、最後にはフランコ派が勝つ。こういったことや初恋など人生が転換するような事態をキャロルは僅かの間に体験する。主人公のキャロルのきっとした表情がとにかく印象的な作品。

11月×日 『ホワイト・ライズ』の試写。前に紹介した『ソウ』もなんだけど、映画の情報をやっていながら、映画の紹介なんて最低限でいいのにと思うことがある。これは人によって違うんだろうけど、雑誌、HP見ていれば、どんな物語なのか読めてしまうことが多い。というか、そこまで書いていいのかなと個人的には感じる。うちのサイトは気づいている人もいるかもしれないけど、その辺をぼかすようにしている。これは映画は無の状態で観れればいいじゃないとうちのHPの人間が思っているから、そういう風にしているのだ。でも、紹介を主にしているのだから、少し考えて、作品の背景なんかを書こうとしている。予告にだまされたという経験をしている人も多いと思うけど、今の予告は最高のシーンを使ってしまうことが多い。それで客を呼ぶんだから、これは仕方ないけど、ストーリーをここまで見せるかというのもあるしね。で、この『ホワイト・ライズ』も紹介の仕方が難しいなと思う作品。フランス映画『アパートメント』をハリウッド流に焼きなおしたんだけど、ジョシュ・ハートネット、ローズ・バーンという俳優も良く、後半の畳み掛けるような想像と違う展開を楽しんでしまった。女性受けする恋愛もの。でも、これ結果が分かっていても、書きすぎる、知りすぎると面白くなくなる作品だと思う。でも、みんな間違いなく書くんだろうな。個人的にはいろんなことが浮かんできて、楽しめました。

11月×日 中国映画『故郷の香り』の試写。『山の郵便配達』の監督の最新作。故郷の村を離れ、北京で暮らしていた青年が10年ぶりに帰郷。そこで彼は初恋の人と再会する。彼も結婚しているが、初恋の人は思わぬ人物と結婚していた。そして、彼の中で彼女とのこの村での日々がよみがえってくるという物語。ゆったりとした美しい映像をバックに綴られる物語は限りなく切ない。ハンディキャップをもった人物を演じる香川照之がとにかく素晴らしい作品。料理のおいしそうなシーン、どうしてこうも美しい人がいるんだろうという中国人の女優も印象的だった。良質の、美しい中国映画です。
  続けて『キス・オブ・ライフ』の試写。娘と息子、義理の父親と暮らす女性。夫は国連のスタッフとして、ボスニアに滞在している。ボスニアに医療品を届ける夫と彼女はどうしてもすれ違いがちだ。でも、それは彼女にとって寂しくてもいつもの日常である。そんな彼女が交通事故に合い、亡くなる。ボスニアにいる夫には連絡も取れない。しかし、ヘレンは魂となり、自分が愛した家族の間を彷徨い続ける。人が亡くなった時や何かの区切りの時にその人の存在や感触を思い出すことがある。それは魂が彷徨っているわけではないが、どこかで記憶がぶり返すのだと思う。この作品で、偶然の彼女の死は彼女の家族は様々な感情を呼び戻す。終り方もすごく良かった。後味もすごくいい作品だった。

11月×日 昼から打ち合わせ。ああでもないこうでもないと喋って、自らの発言で宿題を抱えて帰社。これはいつものこと。で、その宿題以前に片付けねばならないことも多く、宿題は頭の片隅に追いやって、別の作業に没頭。これもいつものこと。今回のような打ち合わせは面白いんだけど、どうなんだろうかとも思ったりする。

11月×日 週末の疲れがどっと残っているのだが、それでも試写に行かねばならぬ(別にそんな大仕事でもないのだが)。『巴里の恋愛協奏曲』の試写。タイトルからも伺えるように“ミュージカル”で『恋するシャンソン』のアラン・レネ監督ということで期待したんだけど、更なる疲れがどっと出てきて、しかも試写会場が寒くて、前半は集中できず(どうも風邪気味だったらしい)。衣装はゴージャスで、歌もまあまあなんだけど、集中できなかった前半が今ひとつかな。後半はまあ面白い。オペレッタと呼ばれるミュージカル的コメディーなんだけど、フランス語が分かれば相当に堪能できるんだろうなと思う。体調の問題もあったのだろうけど、期待しすぎました。会社に戻っても集中力が戻らず、家に帰って、寝る。

11月×日 十分な睡眠で体調復活。昼からチェコアニメの巨匠 カレル・ゼマン監督の『悪魔の発明』の試写。実写と空想図鑑から飛び出たような線画(アニメ)が融合した作品。最初からその画面の虜になる。ジュール・ヴェルヌ的な作品だなと思って観ていたら、やはりそうでした。最近のファンタジーはあまりにも現実的過ぎて、あれはファンタジーではないというようなことを書いていた人がいたが、その気持ちが良く分かったというか、納得した。これは僕が子供の頃に図書館や雑誌で見ていたファンタジーの世界だった。男受けする作品だろうな。でも、そのすごさを味わって欲しいな。面白いし。
  近くで食事をして『恋文日和』の試写。これジョージ朝倉という人のコミックの映画だというんだけど、全く知らない。コミックはほとんど読まないから尚更だ。で、映画はそのコミックから選ばれた4本のオムニバス。3本作品のつなぎに、1本の作品を細切れのように入れるという構成も面白い。正直、全く期待していなかったのだが、これが拾い物だった。どの作品も平均点以上だし、きちんと感動させてくれる。本当に良く出来ています。個人的には大森美香監督による作品(『あたしをしらないキミへ』)が最も好み。観ていないのだが、レイトで公開されるという『2番目の彼女』も必見かなと感じてしまった。期待した映画にはずされ、全く期待もしていなかった作品に喜びを与えられる。タイミングが合ったから観ることができたのだけど、前日にタイミングよくファックスを送ってくれた宣伝の方には感謝。ちょっと感動する作品が観たいなら、劇場に足を運んでもらえればと思います。笑えるし、本当に感動できます。
  会社に戻って、プレゼントの当選者選び&発送。『誰にでも秘密がある』熱狂的な韓流のパワーに驚く。

11月×日 フランス映画『ボン・ヴォヤージュ』の試写。巴里陥落までの36時間をある女優と男たちの恋愛を狂言回しにしながら描いた作品なんだけど、これもなんか煮え切らない気分になってしまった。コメディー・ドラマ的な作品なんだけど、お金をかけている割にはどれも中途半端な感じ。話も新鮮味がないしね。イザベル・アジャーニも正直、良くない(ヴィルジニー・ルドワイヤンはいいんだけど)。『巴里の恋愛協奏曲』といい、フランス映画が好きなだけに残念な気分。セットは素晴らしいです。
  夜、『誰にでも秘密がある』をビデオで観る。80年代の日本のTVドラマかなと思う。懐かしい気分。イ・ビョンホンのファンなら満足なんだろうけど、みんな、観て、どんな感想を持つんだろうか。

11月×日 夜、試写にいこうと考えていたのだが、行けず。惜しい作品を逃した気分。次に行けるのだろうか。ひたすら雑務で一日が暮れていく。今週は期待はずれが多い1週間だったような・・・・。

1月×日 高橋伴明監督の『火火』の試写。主演は田中裕子、窪塚弟の映画デビュー作でもある。陶芸家であり、骨髄バンクの立ち上げに尽力した神山清子を描いた作品。貧乏しながらも自分が作りたい陶芸に一身を捧げそれを成し遂げるまでと、白血病になってしまった息子のために骨髄ドナー登録に尽力した部分が描かれている。高橋監督の映像、人間描写、田中裕子、窪塚弟、石田エリ、岸辺一徳などの演技が一体となった素晴らしい作品。臭くもならず、神山清子という人物がもっているであろうパワーが途切れることなく伝わってくる。後半には不覚にも涙の作品でした。

11月×日 夕方から簡単な打ち合わせ。雑務もあり、試写には行けず。

11月×日 夜、うちで『ヴァイブレータ』の廣木隆一監督の新作『ガールフレンド』を観る。話自体は岡崎京子以降の流れに乗ったありがちなものなのだが、それを言葉少なく、長まわしのカメラワークで捉える映像表現が素晴らしい。画面が主人公たちの気持ちを語りきっている。しかもこれデジタルビデオでの撮影だという。デジタルの癖をいい方向に持っていっているよなと感心してしまう。短い期間での公開がちょっともったいないなと思える出来栄え。主演のカメラマン役の女の子がすごくいいし、個人的に好みだね。

11月×日 ブラッド・アンダーソン監督の新作『マシニスト』の試写。相変わらず美しい映像。話もどこに向かっていくのかが掴めず、面白い。音楽の使い方も秀逸だな。驚嘆すべきは、主演のクリスチャン・ベイル。別人じゃないか。聞けば、この作品のために30キロの減量をしたとか。すごすぎる。作品もいいんだけど、このクリスチャン・ベイルの逸話だけが残りそうな作品だなと思ってしまう。内容は心理劇的サスペンスといっていいのかな。予備知識なしに観た方が楽しめるはず。

11月×日 『戦争のはじめかた』の試写。平和ボケしている軍隊の内部を描いた『マッシュ』、『キャッチ22』的内容の作品。製作は2001年だが、アメリカでは“9.11”以降の影響をもろにかぶり、公開が何度も延期され、結局、2003年に限定的に公開されたという作品。内容は痛烈で笑える。ただ、映画としてはちょっとたるいかなという部分もある。期待しすぎると肩透かしをくうかなという感じだ。ちなみにここに描かれていることはほとんど事実に近いものだという。こういう作品も反国家的ということで、公開されなくなっているというアメリカの現実を重ねて、観てみるといいと思う。現実を皮肉で描きながらも、現実の方がもっと皮肉だということか。

11月×日 市川準監督の『トニー滝谷』の試写。タイトルから分かる人もいると思うが、村上春樹の短編小説の映画化。村上春樹の映画化といって思い出すのは、大森一樹の『風の歌を聞け』、山川直人(好きな監督なんだけど、何してるんだろうか)の短編くらいしか思い出せないけど、市川準のテーストで村上春樹をどう料理するのかが楽しみな作品だった。語りにのせて、場面をスライドさせていくことで作られているこの作品はまるで本みたいで物語も深く胸に落ちてきて「ああ、こういうやりかたもあったんだな」という感慨をもった。個人的にはすごく好きな作品だな。何度見ても飽きないと思うし、ここのところ今ひとつだった市川準らしさも戻ってきたかなと思う。多くの人に受け入れられる作品ではないが、村上春樹のファンなら必見ではないだろうか。主演はイッセイ緒方と宮沢リエ。音楽は坂本龍一。

11月×日 夜、“ラブ・コレクション”シリーズの1作である安藤尋監督の『ココロとカラダ』をビデオで見る。僕にとっては『blue』の印象が素晴らしかったのだが、この実際に起こった事件を元に監督自身が少女の傷ついた末に向かってしまった場所、傍から見たら無気力、無感動な生き方を描いた作品には、どうしようもない怒り、痛み、やるせなさしか残らなかった。主演の女の子もいいし、内容もいいのだが、もう一度観ると問われたら、観ないと答えるだろうなというタイトルとは裏腹の重い作品。

11月×日 『フェスティバル・エクスプレス』という1970年に開催されたロック・コンサートのドキュメント。列車を借り切り、カナダの町々でコンサートを行っていくというもので、グレイトフル・デッド、バンド、ジャニス・ジョプリンなど錚々たるミュージシャンが参加していたという。このときに撮られたフィルムを編集して、公開したのがこの作品。僕自身はこんなライブがあったのは知らなかった。列車は常にセッション、ドラッグ、アルコールの状態。ミュージシャンは最高にハッピーだったらしいが、コンサートは大失敗に終る。そういった状況を関係者の証言やフィルムによって綴っていくのだが、圧倒的なのはやはりライブのシーンでしょう。少ないカメラで撮られているんだけど、アングルもいいし、演奏も素晴らしい。コンサートが失敗に終ろうが、これを観られるということ自体が幸福だなと思う。もちろん、当時の雰囲気も伝わってきます。ちなみにアメリカではDVDになったらしく、山のようなボーナス映像が入っているらしい。そっちも気になるな。

11月×日 『またの日の知華』の試写。『ゆきゆきて、神軍』の原一男監督による初めての劇映画。物語は知華という女性の人生をと男との関係を通して、4章立てみせていく作品である。この4章をそれぞれ別の女優が演じるということも大きな話題となるはずだ。物語は体操選手として将来を約束されていた知華がその糸が切れことにより、どんどんと落ちていくさまを描いていく。不思議だが、4人の女優によって演じられる知華という女性には不思議なほど違和感がない。別人なのに、知華でしかない。それは知華という女性の表の生き方が変貌していくからなのだろうか。ひとりの人間でも想像以上に変貌することを知っているからだろうか。原監督はその知華の物語に学生紛争などの時代性を重ねあわせていく。この時代が重なることにより、作品は日本という国が背負ってきた時代も必然的に語ることになる(この辺はドキュメントだなと思う)。この物語のずいぶん先にいる現時点をその視点で考えると余りにも重い。映画自体もどうしようもないやるせなさが拡がる作品だが、『ココロとカラダ』のように二度と観たくないとは思わない作品だった。この後の現在にまで続く物語がどうしても観たいと感じた。

【余談】
  この2004年11月に観た作品で最も印象に残っているのは『ふたりにクギづけ』、『フェスティバル・エクスプレス』、『トニー滝谷』、『ブエノスアイレスの夜』なんてところか。『ふたりにクギづけ』は色々な経緯があってやっと公開になった作品だが、面白かった。もっと大きく公開してもよかったんだろうけど、それは無理だったんだろうな。『フェスティバル・エクスプレス』はこういうロックフェスがあったこと、そこに残っていた映像に驚き、興奮する。『トニー滝谷』は市川準らしさが凝縮した作品で嬉しかった。『ブエノスアイレスの夜』は政治的な重さをうまく描いた作品だった。あまり観た人はいないと思うが、『恋文日和』はその辺の感動映画よりも良く出来た、爽快感のある作品だったので、だまされたと思ってレンタルして欲しい。『ザ・コケッツ』は個人的には興味深い発見であった。

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