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試写会など日記 
アーカイブについて
 昨年(2004)の6月から始まった“試写会など日記”。元々はメルマを充実させるための企画として始まったのですが、今ではこれを楽しみにしていてくれる人も多いようで嬉しい限りです。率直な意見が聞けるという声もありますが(ま、そのあたりのことは担当者の心を覗かなければ判らない部分もあるのですが)、希望の多かったこの“試写会など日記”のアーカイブを月別にUPしていきますので、文体の差、手を抜いているな、あの作品をこう思っていたのか、こんな作品があったんだなどお楽しみください(原文は基本的に発表時のままです)。


■過去記事一覧

9月×日 『春夏秋冬そして春』の試写。韓国映画の鬼才キム・ギドクの作品。最初は「あれ、これってキム・ギドクの作品なのか」と感じたのだが、あるシーンからすぐにのめりこみ、タイトルどおり季節で章立てされた世界を堪能した。季節と人間の成長、心理を重ね合わせたこの作品は、設定やセット、相変わらずの映像の素晴らしさとともに人間が生きていくということを感じなおさせてくれる作品になっている。これは泥にまみれたことがあるキム・ギドクだからこそ、描けた世界だと思う。欧米で受けているのは良く分かるが、明らかにアジア人が見る感性とは違う部分で見ているはずだ。くさいかもしれないが、このくささは作られたものではなく、染み出てきたものだ。だからこそ、こちらの心を打つんだと思う。またいい作品に当たってしまった。こんなに当たるのも珍しいな。

9月×日『日野日出志のザ・ホラー怪奇劇場〜第一夜〜』の試写。3本の作品が公開されるのだが、そのうちの2本「地獄小僧」と「怪奇!死人少女」を観る。日野日出志というとあの独特の絵なんだけど、「地獄小僧」はそのテーストをうまく映像に再現しようとした感じで面白い。「怪奇!死人少女」は相当にいい。あの独特のテーストと悲しみがうまく表現されている。ちょっと自主映画的なテースト(単純に予算も時間もないからなんだろうけど)もあって、これ、結構面白いじゃないと感じてしまう。しかし、日野日出志という名前でどれだけのお客が来るのだろうか。

9月×日 『犬猫』の試写。2001年のぴあフィルムフェスティヴァルで企画賞を受賞した作品を監督自身がリメイクした作品だという。これがすごくいい作品。ふとしたことから、幼馴染なのにあまり仲のよくない性格も正反対のような女性二人が一緒に暮らしという作品なんだけど、映画全体に流れているまったりとした雰囲気が、中央線沿線のムードでものすごく気に入ってしまった。主演の榎本加奈子、藤田陽子もすごくいい。中央線沿線のムードの作品なので、仕事をするという生活臭はないんだけど、あのまったりした感覚は分かる人には分かるはず。すごく好きなので、もう一度観たい。

9月×日 この日は雑務で試写には行けず。同じことの繰り返しで、くたびれる。試写がいっぱい観れていいですねと言われるし、そういう意見も送られてくるんだけど、このあたりは個人的には何ともいえないです。確実に糧にはなっているのだけれど。ま、そうですよね。

9月×日 『アラモ』の試写。ロン・ハワードが監督を降板したりといくつもの悶着があった作品だ。恥ずかしながら、ジョン・ウエインのオリジナルとなる『アラモ』は観ていないので、比較とかは出来ないのだが、ひとつの戦いの政治的な利用という部分を強く考えさせられたしまった。映画そのものよりもそういった部分、その後のアメリカが歩んだ道程というものをどうしても考えてしまうのだった。スタッフは国としての一致団結を描きながらも、ある種の疑問を提示しようという意図があったのではないかと個人的には感じてしまった。評判はあまりよくないみたいだけど、決して悪くない作品だと思うのだが。

9月×日 『エレファントマン』の試写。この秋に25周年記念としてニュー・プリントでリバイバル公開されるのだという。ちょうど映画というものに大きく関心を持った中学生の頃にこの作品を僕は観ているんだけど、それ以降はきちんと観ていなかった。で、改めて観た感想は、本当に素晴らしかったということだけ。あの頃は感動というよりは、怖いもの観たさの部分があったんだけど、観ているうちにストーリーも思い出してくるし、ああ、こうだったのかという今だからこそ受け止められる部分もある(監督がリンチだったことも試写状を見て気づいたくらいだしね)。こういう作品を観ると本当に満足してしまう。当時、文部省のお墨付きをもらっていた作品だというのもプレスを読んで、初めて知った。『エレファントマン』の名前しか知らない人、昔の映画に興味を抱けない方にこそ観てほしい作品。もちろん、あの当時観た方もぜひ。

9月×日 『イズ・エー』という日本映画の試写。ある爆発事件で息子を失った刑事とその事件の加害者である少年の父親。出所した少年。ある事件が起こり、その少年を職務という枠を超えて追い詰める刑事と彼を守ろうとする父親。しかし、そこに新たな事件が起こりとストーリーを書くとつまらない作品に思えるのだが、これが結構緊迫感のある、ミステリー小説のようないいドラマとなっている。少年法、加害者家族と被害者家族について様々な考えめぐらすことも出来るし、純粋にエンターテインメントとしても楽しめる作品だと思う。もっと早く試写を観ればよかったとちょっと後悔。

9月×日 『青い車』の試写。知っている人も多いだろうが。よしもとよしとも原作の傑作といわれているコミックの映画化である。こんなことを書いているが、コミックの世界とはずいぶんと離れてしまっているので、原作は話に聞いたことはあるが、読んだことはない。で、原作を知らずに読んだこの作品、悪くはない。偶然にも生き残ってしまった抜け殻のような人生も分かる。でも、何か物足りない。それは作品が雰囲気で持っていこうとしているからではないかと感じてしまった。原作のファンはどう思うのだろうか。

9月×日 雑務というか。いつもの調べ物、下ごしらえで1日が暮れていく。疲れ切る。先週の日記で、試写に行く人が欲しいと嘆いたら、いくつか意見を頂きました。どうもありがとう。やる予定ではいるのですが、あまりにもダメだった経験もあるので迷っています。試写の感想を送ってくれる方は、きちんと書いてくれているので、そういう方から時間などが合えば、セレクトしたいなとも考えています。我こそと思う方は、映画への想い、観た映画の感想など書いてきてください。

9月×日 試写に行くつもりだったのだが、日程を間違えていたことに気づき、やめる。こなさなければならない雑務もたまっているので、そちらをこなすことにする。試写会の日程は間違えることは九分九厘ないのだが、入れないことはたまにある。日程の調整が付かず、逃すこともそこそこある。夕方から打ち合わせ。
  試写プレゼントの意見で多いのが、時間を何時にしてくれとか、どこどこでやって欲しいということなんだけど、これは映画会社なんかが決めるので、うちでは調整できない(意見は伝えるが、ホール借りるにも時間でお金が変わるからね)。また、多くプレゼントして欲しいという意見もあるのだが、これは、ま、いいか。本当に当たっているのですかという意見も未だに多いな。当選者を公表すれば、納得するのかな。

9月×日 昼から『ガーフィールド』の試写。アメリカで人気の猫のキャラクター ガーフィールドの映画版。しかも実写だ(ガーフィールドはCGだ)。僕が観たのは吹き替え版だが、こういう作品は理屈ぬきで楽しめる。内容もどこかで観たようなものなのだが、何のかんの面白い。監督は傑作『サンダー・パンツ!』のピーター・ヒューイット。原作のニュアンスとは随分違うらしく本国では散々な評ばかりなんだけど、子供と観ても、カップルでデートで観ても楽しめるはず。個人的には吹き替えよりもビル・マーレイが声をやっているオリジナルが観てみたくなった。ビル・マーレイ、ガーフィールドにぴったりじゃない。
  続けて『みんな誰かの愛しい人』の試写。今年のカンヌ映画祭で脚本賞を受賞した作品。『ムッシュ・カステラの恋』の監督アニエス・ジャウィの最新作だ。文句なしで素晴らしい作品。オープニングのタクシーでの気まずいシーンから、こういう経験ってあるよなと作品の中に入り込んでしまった。とにかく、間の使い方が絶妙!会話やいい瞬間を邪魔する軽帯電話の使い方やそれが生み出す間も絶妙!男が揃いも揃ってちょっとダメなやつで、奥さんなんかに愛想付かされたり、怒られたりするんだけど、これも自分の身にしみこむように感じる。とにかく面白く、愛しい作品。こういう作品はずっと心のどかに残るし、何回観ても飽きることがないはず。日本語タイトルのつけ方も絶妙。フランス映画、にじみ出る笑いが好きなら見逃さないように。最近だと『幸せになるためのイタリア語講座』的な雰囲気のある作品です。素晴らしい。試写のプレゼントも出来そうです。これもうれしい。

9月×日 朝から打ち合わせ。会社に戻って、原稿を書いたり、来週のセレクションの調整をしたり。夕方、ちょっとうれしいことが決定。これで多少はみんなの期待にこたえられるのかなと思ったりもする(今週はちょっとグチっぽい日記になってしまった)。

9月×日 『山猫』の試写。ヴィスコンティの名作。完全復元版としての公開だ。これまでの残されていたヴァージョンは様々にカットされ、オリジナルの状態ではなかったのだという。それをイタリア政府が総力を挙げ、残っていたフィルムなどから修復、復元したのだという。20世紀の生み出した大きな藝術文化のひとつである(しかも大衆的であったというのがミソ)映画は、これからこういうあり方も持って行くのだろうなと感じたりする。それを誰でも気軽に見られる施設もきっと出来るだろう(近いものはあるが)。で、この3時間を越える作品、感服しました。イタリア統一という革命。貴族の斜陽、それでも時代を捨てきれない貴族たち、時代に乗ろうとする若い連中を描きながらも、新たな時代を受け入れ、身をひいていこうとするバート・ランカスター演じる公爵の姿が胸を打つ。過去の物語だが、今という時代にも重なるテーマを持つ作品だ。こういう作品は映画館で観て欲しい。10月下旬公開。10月に開催されるヴィスコンティ映画祭でもオープニング上映されるという。

9月×日 今週は休みが多い。うれしい!しかし、仕事量はいつもと変わらないので困る。この日も徹底的に雑務。状況によっては、翌日、会社に来ることが出来ないので、会社でやるべきことは片付ける。残りは家でやればいい。夜は『マイ・ボディガード』の試写。デンゼル・ワシントン、ダコタ・ファニングが共演した冒険小説の巨匠A.J.クイネルの小説の映画化。現実世界を背景に、あることから鬼となるデンゼルがすさまじい。クリストファー・ウォーケンなど脇を固める面々も充実。ラストは分かっていても面白いです。

9月×日 家庭の事情で、会社にはやはり行けず。試写ももちろんなし。家で仕事をしながら、家事をしたり、子供の相手(といっても赤ちゃんなので)をしたり。仕事は進まず。当然か。エルヴィス・コステロの新譜を入手。最近のアルバムはどれもいいんだけど(というより、すべてのアルバムのクオリティーが高いんだけど)、この新作は彼のベストの1枚なのでは。アメリカン・ロック、カントリー、ソウルなどが好きなコステロの味わいがいい感じで出ている。ルシンダ・ウィリアムス、エミルー・ハリスも参加。レコード会社はロスト・ハイウェイ。今、乗りに乗っているロスト・ハイウェイで出すとは、さすがコステロですね。日本盤のボーナストラック「モンキー」(デイヴ・バンソロミューのカバー)に笑う。

9月×日 休日。子供を抱いて散歩。必要なくなったCDを20枚ほど処分(売り払う)。「アメリカン・スプレンダー」のコミックを入手。うれしい。

9月×日 韓国映画『酔画仙』の試写。19世紀の朝鮮に生きた天才画家チャン・スンオプの生涯を描いた作品。僕はチャン・スンオプという画家を全く知らなかったのだが、なんというのか破天荒な人生を歩んできたんだなという部分はものすごく伝わってきた(今でもその人生には謎が多いらしい)。映像の美しいシーン、はっとするシーンも多いのだが、個人的には動乱へと向かっていく朝鮮の状況とスンオプの晩年が重なっていく部分に打たれるものがあった。この画家も晩年になればなるほど、作品がそぎ落とされていっている。

9月×日 この日はいつものように雑務。どうしても週のうち1日はこれでつぶれてしまう。取上げたい映画は結構あるのだが、網の目からこぼれてしまう作品も多い。今公開しているのでは『なぜ彼女は愛しすぎたのか』(フランス映画という作品)、『スクール・ウォーズ』(ちゃんとTV意識して作ってます)とかいいんだけどね。

9月×日 『トリコロールに燃えて』の試写。シャ−リーズ・セロンが『モンスター』の後に選んだ作品。第二次世界大戦直前から中までのフランスを舞台に愛に仕事にと奔放に生きた女性の物語といっていいだろうこの作品、そこに暮らす彼女の恋人のイギリス人(スチュアート・タウンゼント)、スペイン内戦から逃れて、ここに暮らすスペイン人(ベネロペ)の3人を軸に展開する。セロンも父がフランス人、母がアメリカ人の娘で、両親は別れ、母の元で育ったという設定。要は3人ともボヘミアンといってもいい設定。その彼らが戦争という次代背景に飲み込まれていき・・・・という物語。クラシックなゆったりとしたスタイルで作られていて、ファッション、映像も美しいのだが、なんか物足りない。似たような話が一杯あるからかもしれないし、セロンの生き様がどうも腑に落ちないのかもしれない。途中から、ずっと思っていたのだが、ロバート・キャパが撮ったあのフランスが開放された際の1枚の写真のほうが訴えるものがあるんだよな。

9月×日 『ラ・ピエトラ 愛を踊る人』の試写。この辺りに関しては本当に知識がないのだが、世界的なバレリーナ マリ・クロード・ピエトラガラが主演したラブ・ストーリー。監督と奥さんの実話を元にしているというだけあって、死を宣告され思うように迷いながらも生きようとする女性、その女性を愛し、翻弄される男の物語は訴えてくるものは大きい。話はフランス映画的、手持ち、寄りの荒れた、青みがかった映像が多く(もあれも出ているので、デジタル撮影か?)、今的なのだが、正直、ちょっと全体的に長いかなという気もした。ピエトラガラと翻弄される旦那を演じるフロラン・パニーは素晴らしい。個人的にはエンドロールが一番美しかったといったら、問題ありかな。ピエトラガラに興味があったり、フランス映画が好きなら、観る価値ありかな。

9月×日『エイプリルの七面鳥』の試写。感謝祭の日に、うまく関係を保てなかったママや家族を自宅に招待したエイプリルと彼氏。エイプリルは七面鳥をオーブンで焼こうとするが、壊れていて、てんやわんや。一方、自宅を出発したママたちもトラブル続き。用事のために出かけた彼氏もひと悶着という様子を描いた作品。出てくる人物がほとんどいい加減なのでその状況に笑ってしまうのだが(本当におかしい)、最後はホンワカとさせ、自分の身の回りにいる人に優しくすることを考えたり、昔の状況を思い出したりしてしまった。これはアメリカン・インディーズの素晴らしさを示す作品ですね。本当に素晴らしいし、こういうのがあるからうれしい。もっと前に観ておけばよかったと後悔。中で流れる音楽が、マグネティック・フィールズなどのステファン・メリックだったのも素晴らしい。こっちもアメリカン・インディーズ(今は違うかな)の最良の部分だからね(サントラ、買うことは決定です。日本では出ないだろうが)。
  夜はラモーンズのドキュメント『エンド・オブ・ザ・センチュリー』の試写。ラモーンズのTシャツ着た20代の子とかも結構来ている。ロック密度が高くてうれしいね。ラモーンズの誕生から解散までをメンバー、関係者の証言で綴ったこの作品からみえてくるのはバンドを維持することの困難さだ。彼らの生み出したロック(パンク)がいかに画期的だったかという部分にも触れているが、映画の大半が語るのはメンバー間の不仲、評価とセールスがつりあわなかったという状況だ。そんな彼らもすでにメインである3人が存在しない。当然、バンドがよみがえることはないし、新たな世代は残された音と伝えられる伝説的なもので追体験するしかない。でも、伝説なんて誰かが膨らましていくもの。そんな時にこの作品は重要になるよね。編集も素晴らしいドキュメントですが、ラモーンズのライブを一杯期待すると肩透かしを食うかも。だが、これ観れば、ラモーンズを聞きたくなるのは間違いない。個人的にはソニック・ユースのサストン・ムーアの「彼らは吟遊詩人のようだった」という発言が印象的。それとラモーンズというと鮎川誠を思い出します。

【余談】
  この2004年9月に観た作品で最も印象に残っているのは『犬猫』。この作品はこの年の個人的なベストだった。試写も時間がないのに2回も観にいった。それと『エイプリルの七面鳥』と『みんな誰かの愛しい人』。この2本もこの年の、今でもお気に入りです。『山猫』は試写をイマジカの大きなスクリーンで観ることが出来てよかったなという作品。『エレファントマン』もこういう形で観ることが出来、嬉しかった。ラモーンズのドキュメントは「こういう内紛ものでもOKなんだよね。バンドってこんなものさ」的面白さに満ちていた。ラモーンズも当時より今の方が日本ではメジャー。ロックも大きくなりましたということですね。ラモンーズに関しては「小さい音で聞いても格好いい」という鮎川誠の発言が本質を表していると思う。このラモーンズはストーンズなどに変えてもOKなのは分かりきったことでしょ。試写を観てくれる人募集はその後の展開で頓挫。応募してくれた方、申し訳ありませんでした。

 

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