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写真01
■試写会会場にて

写真02

■試写会会場にて

動画01

■トークショー動画
  ストリーミング/300kdps


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注:MACの方は Windows Media Player 9 シリーズ for Mac OS X が必要となります。
 

 12月13日渋谷のシアター・イメージフォーラムで開催された『ボブ・ディラン:ノー・ディレクション・ホーム』特別試写会にイラストレーター、エッセイストなど多岐に渡って活躍する、日本一のディラン・マニアといっても過言ではない みうらじゅん とミュージシャンの井上陽水が登場し、ディランとこの作品に関して思い入れたっぷりのトークショーを行った。ほとんど掛け合い漫才のように井上陽水の言葉をみうらじゅんが受け取り、補足し、進んでいくという中身の濃いこのトークショーは予定の15分を大幅に超え、倍の30分にも渡った(それでも足りなそうだった。お客さんの帰りは大丈夫だったのだろうか)。その模様の一部を動画、そしてほぼ全容をテキストでご紹介。
  なお、この作品『ボブ・ディラン:ノー・ディレクション・ホーム』は12月23日からシアター・イメージフォーラム、シアターN渋谷、吉祥寺バウスシアターにて公開。
  作品詳細は http://www.movienet.co.jp/movie/opus05/dylan/index.html で!

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井上:今日はお寒いなか、皆さんありがとうございます。よろしくおねがいします。

みうら:ほんとうにどうも、うちのボブのためにかけつけていただいて。皆さんの中にはまだご覧になっていない方と、NHKで見た方、DVDで見た方がいらっしゃると思いますが、大画面で見るのはいいですねえ。

井上:冒頭から固い話をするのもなんですが・・・すごいです。

みうら:(笑)3時間20分近くありますが。途中に休憩を挟むという『七人の侍』形式で上映されるんですよね。なかなかないですよ。

井上:音楽関係のドキュメンタリーというのはいろいろあるけれども、全然違うんです。ディランの場合、何が違うのかと考えてみると・・・、人間の精神性というか、本当に大変な映画です。アメリカという経済・軍事・政治的に大きな世界の中心である国を背景にしつつ、音楽をやっているというのがね。ジョン・レノンのように平和について歌うのも大切だけど、よりリアリティがありますね。

みうら:もうストーンズ、ディラン、ジョン・レノンだけでいいんじゃないですか。あとは余暇で。日本ではディランはフォークの神様みたいに言われていたんですが・・・・。      

井上:この映画の中での一つの見所は、テレビ番組でほめられたときのディランの反応ですね。絶賛されたときの居心地の悪そうな態度。

みうら:そうですね、ぜひものまねしてください。それと、ディランは絶賛されるのに常に疑念を持っているということ、一つ新しいことを始めると必ず非難される、というのがよくわかりますね。

井上:ポイントはいくつかあると思いますけど、人種差別、公民権運動だったり戦争だったり、そういう時代を背景として周囲に持ち上げられ、オピニオン・リーダーのような存在になったときにそれを違うだろと切り捨てる。まわりの期待と違うことをするのはとても大変です。簡単に見えるけど出来ないと思いますよ。物凄い数の人に対して「違うかも」と言い、行動するのですから

みうら:そうですね。あるイメージをつけられても、自分の信念を貫いて、結果的にブーイングされるという。でも、それをやめないですよね。そこがえらいと思うんですよ。

井上:あのブーイングは、噂には聞いていましたけど実際に映像をみたら凄かったですね。僕らみたいに東洋でお米を食べて、紙と木の家に住んでいる人たちとは違って、やっぱり肉を食べてる獣系の人たちのブーイングは違うな、と思いました。
  それで話せばきりがないんですけど、ブーイングされた直後に歌う「やせっぽちのバラッド」や、ニューポート・フォーク・フェスで2・3曲でひきあげて戻ってきて歌った「イッツ・オール・オーヴァー・ナウ・ベイビー・ブルー」とか、聴いている側はグワーンときますし、できすぎてるというか、本当に上手なんですよね。

みうら:できすぎてますよ、運のいい人です。
  この映画を観ると、ディランにとって女性の影響が大きいということがよくわかりました。「フリーホイーリン・ボブ・ディラン」のジャケットでもガールフレンドのスージー・ロトロさんと写ったりして、ひとりフライデー状態ですもんね。中々出来ないですよ。神様といわれているけれどやっていることの一つ一つは生々しくてすごく人間ぽいんですよね。

井上:人間らしく生きるのがいいと思うのは分かっているのですが、色々な状況があり、出来ないですよ。例えば、この場で喋りたくないから席を立つということも出来ませんよね。勇気を持ち、とても人間らしく生きていますよね。

みうら:記者会見の映像でもばんばんそういうところが出てますね。

井上:時代もあるのでしょうが、あれを観るとインタビュアーの鈍感さとか辛辣さ、まぬけさがよく分かって・・・・、大変だっただろうな、と思いますね。

みうら:それをどう逃げるかも面白かったです。音楽のみならず、全てが面白い。今のディランも出ますが、気になるのはやっぱりあの細い髭、カイゼル髭ですね。誰が許したんだろうというのが問題ですね。あの髭にはまだいけませんね(笑)。日本で言えば、大泉アキラになりますね。

みうら:スコセッシは『ラスト・ワルツ』の最後のシーンでディランを撮ったときからディランの自伝映画、という30年にもわたる構想を持っていたんですよね。

井上:スコセッシはやっぱり上手いですね。資料のピックアップも、編集も格好いいですよね。

みうら:最終的にはスコセッシに撮ってもらうのが目標ということで。

井上:若い頃のディランは格好いいですね。ジョーン・バエズとふたりでいるとこなんか、ピチピチの肌というか本当に格好いいですね。

みうら:ジョーン・バエズは最終的にはちょっと腹をたててましたね。自分はステージに呼んであげたのに、イギリスツアーでは自分は同行しただけで一度もステージにあげられなかったということで。

井上:ある時期はジョーン・バエズの方がスターで彼を売り出した部分もあるわけですから、腹を立ててましたね。それに対して現在のディランが「愚かだったかもしれないけど愚かじゃなきゃ恋なんてしない」と言っていましたね。また、上手いことをと。

みうら:あのシーンはちょっと口がろれってましたが、本当に上手いこと言ってましたね。今でいうチョイ悪オヤジですね。60歳を超えたときに出た曲が「ラブ・シック」ですから、まだ恋をするのかと俺も驚きましたよ。
  途中でちょっとだけグロスマンというマネージャーが出てきますが、彼がサングラスをかけろ、水玉の服を着ろとか随分と指示を与えていたという伝記を読んだことがあるんですよ。それをサイモン&ガーファンクルが馬鹿にして、マネージャーがいなかったら何も出来ないボブという曲を作って、歌ったという話もあって、ディランは相当に影響を受けたみたいですね。もう亡くなったので死人に口なしですが。グロスマンの奥さんはきれいな人で、あの「ブリング・イット・オール・バック」のジャケットの女性ですよね。

井上:あの「ハイウェイ61」のジャケットもかっこいいですよね。TriumphのバイクのT シャツを着たディランのジャケットで。記者会見でそのT シャツにはどういう意味があるのかと問いつめる学生風の男がいるんですが、そこはぜひ見てほしいですね。ああいう人が犯罪を犯すのだろうな思いますよ。

みうら:眼が異様でしたね。
  ポール・スミスの今年の夏のテーマがTriumphのバイクだったんですよ。あの「ハイウェイ61」のイメージというものだったらしいです。ディランはファッションでも影響が大きいということなんですよね。

井上:日本ではそういう部分は伝わり難いですよね。また、歌詞の韻を踏むという部分でも楽しめると思います。  
       
みうら:韻といえば、作品中でも流れる「サブタレニアン・ホームシック・ブルース」ですが、世界で最初にプロモビデオを撮ったのも、ブートレグが出たのもディランですからね。プロモーションビデオは陽水さんが2番目ですが。
  今、若い人が持っているロックというイメージも全部ここから始まったといっても過言ではないですからね。後にザ・バンドとなったホークスをバックにしているんですが、ロックとなったことでもブーイングを受けたのですが、その音がジミ・ヘンドリックスより大きかったというんですよ。歌詞が大事なんだということで、ケーブルを切るとかいう逸話も出てきます。それからアル・クーパーが参加したいきさつも出てきますし。この後、ディランはバイク事故などもありウッドストックにこもるんですが、それから何年もたって「バングラディシュ救済コンサート」で久々にステージに上がったとき、緊張しすぎて、トイレでハーモニカを練習していたということも伝記に書いてありましたが、繊細な人なんですよね。。

井上:素晴らしい映画を観る前にこんな話で汚してしまうことが日本の極東アジアの縮図ということで(笑)。これから見る皆さんは楽しんでください。私も3回見ました。
  みうらさんはディランに会っているんですよね。

みうら:息子が仏像好きだということで、京都の三十三間堂で「ジャスト・ライク・ウィ・アー・ザ・ワールド」といったら爆笑が起こりまして、息子をたらしこんで福岡の楽屋で会いました。ミラーのサングラスに僕がふたつ移っていました。息子が「仏像を案内してくれて、うどんを食べさせてくれたんだよ」と言ったら「サンキュー」と言われました。もう、嬉しかったですよ。
  僕も、『アイデン&ティティ』が映画化されル時にディランに許可を受けて最後に「ライク・ア・ローリングストーン」を使ったんですが、今回はスコセッシにちょっとパクられたな、と思いました。けど、でもかっこいいのでぜひ観てください。全国で公開されていくことも楽しみにしています。

(12月23日東京・渋谷・シアター・イメージフォーラムにて)

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