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■インタビュー開場にて

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■インタビュー開場にて

 “ホン・サンス監督は前面の俳優だけでなく、エキストラの動作までしつこいくらい演出にこだわりを持っているので20回、30回と取り直すことも良くありました”

 ホン・サンス監督の話題作『女は男の未来だ』の日本での公開を前日に控えた10月28日に主演のキム・テウの取材が都内某所で行われた。取材の中でも触れられているが、作品の中とは全く別の風貌にまず驚かされた(実は会見場所に向かうエレベータの中で乗り合わせていたのだが、全く気づかなかった)。ジーンズに青いドレスシャツ、黒のジャケットを自然に着こなしたキム・テウの印象を表せば「役者だな」という一言に尽きると思う。役者が好きで、役者をするために常に考え、勉強している、そういう雰囲気が回答の端々から伝わってきた。今後も幅広いフィールドで活躍していくであろう注目の俳優であることは間違いないだろう。当日の会見内容は以下の通り(なお質問内容、回答などは読みやすくなるように手を加えています)。

Q.他の演出家と比べて、ホン・サンス監督の作品ではどのような苦労がありましたか。

A.まず、ホン・サンス監督監督の撮影方法の特徴として、その日に撮る分のシナリオををその日の朝にいただくということがあります。だからといって、それは初めて出会うものではなく、撮影の2ヶ月前からミーティングを重ねてきているので、俳優やスタッフたちは「今日は何を撮るのか」ということは大体分かっています。ただ、その日に撮る分のシナリオだけをその朝に頂くというのが、他の演出家との一番大きな違いだと思います。
 もうひとつは“ワンシーン、ワンカット”という撮影方法ですので、5分から6分くらいのカットを1回失敗するとまた最初から撮りなおしになります。ですから、非常に集中力を要します。これも特徴ではないかと思います。

Q.ホン・サンス監督からの熱心に誘いがあり出演したとのことですが、その決め手となった理由と他の作品を選ばれるときの基準を教えてください。

A.ホン・サンス監督から誘いを受けたときは本当に嬉しかったです。なぜなら、私は俳優なんですけど、ひとりの人間としてホン・サンス監督のマニアといっていいくらい彼が大好きなんです。だから、その話を頂いたときには快く「はい、出演します」と返事をしました。ホン・サンス・マニアとは監督ではなく、監督の作る作品が好きということなんですが、この作品で初めてホン・サンス監督とお会いして、人間的な魅力も感じましたし、撮影期間も楽しく過ごさせていただいたと思います。
 作品に出演する決め手となるのはやはりシナリオです。映画における役割、ジャンル、自分の出演範囲などもあると思いますが、僕はシナリオがいいならば出番が少なくても、必ず出てみたいと思います。

Q.キム・テウさんが演じた役とキム・テウさん自身に共通点はありますか。逆に共感できない部分などがあったら教えてください。

A.100%役者が役を演じるということはあっても、100%なりきる、共感するというのはとても難しいことです。今回だけではなく、僕自身も含めた色々な俳優さんたちがそうであると思います。その役柄になりきろうとする準備期間から始まる過程では役柄に接近しようとしますし、その役を理解しようと努力も重ねますが、100%共感するのは無理です。ただ、演じてみて「どうしてこの人はこうなんだろう」ではなく、「こうだったら、こうだろうな」という理解は深まっていきますし、作品を撮り終わった後にこういう人間もいるんだなというのは感じることが出来ます。
 例えば、私が殺人者の役を演じたとします。もちろん、私には殺人の経験はないのですが、彼がどうしてその人を殺さなくてはいけなかったのかというようなことを理解し、共感しようとし、演じ、演じた後で「こういうことがあったので殺さざる得なかったんだ」というようなことは毎回役柄を演じながら感じていることです。

Q.恋愛を題材にしている作品ですが、3人の関係、恋愛感どのように感じましたか。

A.確かにちょっと変な関係ですよね(笑)。
 この映画は3人の二日間を撮っているだけですが、特殊な状況における二日間です。だから、この二日間だけを見て「あの人変だ、おかしいね」などと言うのはどうかなとも思います。この二日間だけを見れば、ホンジュン(注:キム・テウが演じる役柄)は自分のことしか考えない利己主義的な男として描かれていますが、二日だけで判断するのはどうかなと思います。なぜなら、人間は一生のうちに色々なことがあり、例えば、僕の一生にうちの二日間だけを取って、そこで僕が悪さをしていて、それが僕の全てかといえばそうではないと思います。色んなことがあって、この人という人間性が出てくると思います。例えば、この登場人物3人もこの二日間以外はいい人物だったかもしれないし、こういう特殊な状況で会うことがなければ、普通に挨拶をして、会話をして終わっていたかもしれません。 

Q.お話にもあるように変わった3人の関係なのですが、演じられていて難しかった点などはありますか。

A.僕もおかしい人なんで、特別に苦労したということはなかったです(笑)。
  映画は、これはドラマもそうなんですけども、ストーリーに順じて撮影していくということがほとんどありません。例えば、同じカフェのシーンなどは一度に撮ってしまうんですが、ホン・サンス監督は本当に映像の通りに撮影を進めていきますので、役者として感情の維持がしやすいのです。ですから、そういった感情の切り替えがない分、特別に難しいところはありませんでしたし、それがホン・サンス監督の狙いだと思います。
 難しいのではなく、ちょっとびっくりしたことは、後半のソナの家でホンジュンがタバコの火を手に押し付けようとするシーン、あのシーンだけは2ヶ月間の準備期間にもなく、あの朝に始めて聞いたので、そのシーンが入ったことがびっくりしたというか、難しかったことになりますね。

Q.ホン・サンス監督の長まわしの映像は今回も本当に圧倒的でした。そこで監督の演出の秘密を知りたいのですが、具体的なシーンを上げて教えていただければと思います。また、今回の普通の人という役作りにどのような準備をしてきたのかも教えてください。

A.とてもいい質問ですね。でも、秘密なのであまりお話は出来ないかもしれませんが(笑)。
 まず、一般の方には本当に自然でその場で演技してくださいとアドリブ形式でやっている作品、映像に感じられるかもしれませんが、全く違います。先ほども話しましたが、この作品、映像を作るためにホン・サンス監督は2ヶ月ほど前から出演者とほとんど毎日映画について語り合います。お酒を酌み交わしながら、本当に色々な話をするのですが、その間にホン・サンス監督はキム・テウがどういう生き方をして、どういう特徴を持ち、どんな癖があるのかという部分などを調べ上げ、観察もしているのです。そして、人間ホン・サンスと人間キム・テウの繋がりもそういったことから築かれるのです。逆にその間に僕はなぜ監督がこういうホンジュンというキャラクターを作り出したかというのも探るのです。どんな意味があり、どうしてこんな行動に出るのかという詳細をホン・サンス監督と話し合うのです。そして、再び監督の立場になると、ホンジュンというキャラクターに対してキム・テウのこんな癖を入れられるではないかということを考えているわけです。映画のホンジュンというキャラクターとキム・テウがある意味ごっちゃになる、交わることで、ひとつの新しいホンジュンというキャラクターを作り出していくのです。
 普通だったら、シナリオがあり、そのシナリオから役者が「こういう人間ではないか」というのを考えて演じていくのが多いのですが、ホン・サンス監督の場合はそうではなく、長い準備期間があり、その中で毎日新しいシナリオが生まれ、より濃い内容になっていくのです。
 こういう長い下準備があるからこそ、本当に自然でその場で演技してくださいとアドリブ形式でやっている作品に感じられるのですが、撮影でも監督は本当に細かいところまで演出しているのです。長いワンシーン、ワンカットの撮影の中のちょっと腰を上げる、ズボンをあげる動作なども「こうしてくれた方がいいんだけど」という監督の演出です。それは一般の人から見れば、本当に自然なこと、動作なんですが、実はそれも監督の指示、演出なのです。俳優側としては高度な集中力が必要で、他の監督と違い、ホン・サンス監督の作品を撮った日は倍くらい疲れます。監督は本当にしつこくて、前面のふたりを撮っているのにその後ろに出てくるエキストラの目線や顔の向きひとつにもこだわりを持ち、それがダメな場合、撮影はやり直しですので、20回、30回取り直す場合も良くありました。

Q.今回(会見)の姿は映画と全く違うのですが、そういった部分も監督との打ち合わせで決定していったのですか。

A.役作りに関してですが、普段体重は73から4キロなんですけども、作品の中で過去のシーン(夏の撮影)は幼い雰囲気を出しなさいということから体重を85キロに増やし、現在のシーン(冬の撮影)は苦労したということから髭も生やし、体重も68キロに落としています。2ヵ月半の間でこれだけ体重などを変化させたのもホン・サンス監督の指示でした。

Q.作品を観ると皮肉にも感じられる『女は男の未来だ』というタイトルですが、その意味合いについてどのように感じられましたか。

A.ホン・サンス監督は素敵な映画のタイトルをつけるということでも有名な方です。今回のタイトルはフランス留学中のカフェで見つけたポストカードにそのようなことがプリントされていて、それを思い出して付けたと聞いています。ただ、このタイトルは反対に『男は女の未来だ』でも良かったのではないかと感じます。そしてもっと大きな面で考えますと、この世には男と女、様々な人間がいて、ひとりでは生きていけないので、どういう人に出会って、どういう関係を結ぶかということがその人の人生を決める要素になると思います。そういう風に男と女、色んな人間の関係があり、それが相互作用し、人間というものは出来上がっていく、そういう印象を受けました。

Q.日本では韓国映画のブームが続いていますが、ホン・サンス監督以外の作品でお勧めのもの、影響を受けたものがありましたら、教えてください。

A.僕が出ている作品全てです。影響を受けた映画はありません。ま、冗談ですけど(笑)。
 推薦したい韓国映画というのは挙げていけば切りがないほど実にたくさんあります。今、日本で公開され、興行的にも成功している作品はどちらかといえば、今の韓流ブームに乗っている、イケメンの俳優たちが出ている作品であると聞いています。韓国にはそういうイケメンではない人たちが出ているすごくいい作品があります。もちろん、この韓流ブームを作った俳優たちの功績は素晴らしいと思いますが、そうでないすごくいい作品が韓国にはまだまだたくさんありますので、そういった作品を皆さんが少しでも観て、公開されるようになれば、もっといいのではないかと思います。

映画『女は男の未来だ』は現在新宿武蔵野館にて絶賛公開中!
作品詳細は
http://www.movienet.co.jp/movie/opus05/mirai/index.html
 で!

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