恋愛コメディかと思ったら、 クエイドとグレイスの年の逆転した上下関係を通して、コングロマリット化やグローバリゼーションの進んだ企業の倫理を問う、ちょっと社会派な部分の比重の方が大きい映画でした。「クビにする時、どうして『解雇する』じゃなくて『We
(must) let you go(辞めてもらう)』っていうんだ、誰も辞めたかないのに」と抗議しながら、自分が長年一緒に働いてきた部下にクビを申し渡すとき、"let
you go"というクエイドとか、「シナジー効果だ」とかおためごかしをいいながらどんどん古株社員をクビにするCEO(マルコム・マクダウェエル)に、「いくらデカくたって、企業がデモクラシーを無視していいのか」と疑問を投げかけるクエイドとか、
視点は直球だけど 脚本がユーモラスなのと、デヴィッド・バーンなどのポップ・ミュージックの使い方も手伝って、重さはまったくありません。
トファー・グレイスは、ペーソス溢れる若者を 演じられるので、今後も重宝されそうです。スカーレットちゃんはすでに大物女優の安定感アリアリです。
日本未公開ですが、アメリカでは評価の高いインディペンデント映画に" In the
Company of Men"という作品があります。「ベティ・サイズモア」「ポゼッション」のニール・ラビュートデビュー作で、友人同士の同僚2人を主人公に、男同士の友情の裏側みたいなものを描いた、かなり辛辣な風刺コメディなのですが、本作はそれのアンチテーゼみたいな内容で、「ビジネスマンだって人間的になっていいんだ」ってホッとさせる映画でした(^_^)。実際は、もちろん両作の真ん中あたりが真実なんでしょうけど。