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■電気羊プロフィール
アニメーター、編集者を経て現在はフリーライター兼翻訳者のハシクレをしている。好きな映画は「ブレードランナー」、好きな役者はコリン・ファースと嵐寛寿郎。だんなについて、目下カリフォルニア州サンタクルーズに滞在中。せっかくなんで、コミュニティ・カレッジに通いつつ、映画三昧している。コリン・ファース主演作「フィーバー・ピッチ」で字幕翻訳家デビューを飾るのが夢。趣味はスキューバダイビングとビリヤード(どっちも超ヘタ)。日本から連れてきた耳垂れウサギを飼っている。

■過去記事一覧




写真01
カストロシアター

写真02
行列するそれらしき方々

写真03
レインボーきらめく
カストロ通り

☆「サンフランシスコ国際レズビアン&ゲイ映画祭」The 28th San Francisco International Lesbian & Gay Film Festival

 アメリカで2番目に同性愛者の比率が多いというサンフランシスコで、現在「第28回サンフランシスコ国際レズビアン&ゲイ映画祭」が開催されています(6月17〜27日)。今年の2月、同市市長が同性愛カップルの結婚を認めて、全米で大問題になったのはまだ記憶に新しいですが、さすがご当地、早や当時の記録を収めたドキュメンタリーがラインナップされています。上映館のひとつカストロ・シアターは、ゲイ・コミュニティの中心地カストロ・ストリートにあり、道の要所要所には同性愛者のシンボルであるレインボー・フラッグがはためき、ショーウィンドーにはゲイ向けのDVDや本などの商品が飾られ、道を歩く人の大半がゲイという、まるで別世界のような土地柄。ゲイの人たちって犬好きが多いのか、かわいくて賢そうな犬を連れた人が、たくさん歩いていました。映画館の前の行列も、一目でわかるそちらの人々ばかりで、マジでストレートは私たち夫婦だけだったかも。レズゲイ映画はレズゲイの人たちしか観ないのだろうか? 通りのそこここで、独特の節回しで発せられる「はろお〜」の声とともに、がっしと抱き合いキスを交わしあう陽気な人々を観察できて、並んでいる間も退屈しませんでした(^_^)。

"Eating Out"

 ストレートのケイレブとゲイのカイルは、仲のいいルームメイト。カイルは、同じ大学に通うハンサムボーイ、マークと知り合いたいが、なかなかチャンスがない。そこで一計を案じたカイルは、ケイレブにマークのルームメイトのグエンをけしかける。グエンは、ゲイの男の子とデートするのが趣味という変わった女の子のため、ケイレブはゲイのフリをするが、そんな彼にマークが熱をあげてしまい──、というシェイクスピアばりにややこしいプロットの映画です。

 登場人物たちのかなりエゲツないセリフのひとつひとつに、豪華で広々とした劇場内を埋め尽くした観客は大受けで、笑い声にセリフが消されてしまうほどでした。ゲイの人たちってむちゃくちゃノリがいい。今どきの言葉遣いやゲイのスラングなのか、私は全然わかんなかったですけどね。

『百合祭』Lily Festival

 邦画です。監督は、30年以上ピンク映画を撮ってきたという浜野佐知(本作は一般映画)。監督は次回作を撮影中ということで、舞台挨拶にはみえられずに残念でした。

 高齢女性達の暮らす鞠子アパートに、ある日75歳の男性三好(ミッキー・カーチス)が引っ越してきたことで起きる騒動を、ユーモラスに描いています。映画の性格上、前回とはうって変わり、待ち行列にはレズやアジアンのカップルが目立ちます。変わったユーモア感覚は大いに楽しめましたが、チープな音楽や演出のワザとらしさ、ストーリーのリズムをくずす回想シーンの多様にちょっと閉口してたら、観客にはそれも笑いを誘う効果と映ったらしく、たいへん受けてました。和服を着、礼儀正しい楚々とした女性たちが、顔色ひとつ変えずに小学生みたいにストレートな言動をするのが愉快だったみたいです。日本人なら絶対に笑わないようなセリフやカットに爆笑していました(「だから80歳以上の一人暮らしの女性に部屋を貸すのは嫌だって言ったのよ!」というセリフに笑える、ここの人たちは幸せだ)。そして、最後の女性同士のキスシーンには拍手が沸きました(^_^)。

 NHKの少年ドラマシリーズに出てきそうな古風な洋館や、女性達の着る着物やかっぽう着、室内の装飾品や家具など、レトロな和風大/小道具に、もうクラクラ。わたしもかしわそば食べたい……。着物姿の吉行和子はとても美しかったです。アパートの住人役の一人に、『ホルスの大冒険』の大方斐紗子が出てたのがちょっとショック。どの人だったんだろう。

 来週末は、サンフランシスコ名物、ゲイパレードに行ってきま〜す。

SF国際レズビアン&ゲイ映画祭公式ページ。トレーラーが楽しい! 劇場内部の写真は実際のカストロシアター。

☆"Mean Girls"

 ティーンの娘を持つ親向けに、高校生活の実態を解説し、様々な障壁や誘惑から、年頃の娘をどうやって遠ざけるかを指南したノンフィクション"Queen Bees & Wannabes"というベストセラーを下敷きに、人気TV番組「サタデー・ナイト・ライブ」のティナ・フェイが脚本を書き、『フォーチュン・クッキー』の監督(マーク・S・ウォーターズ)&主演(リンゼイ・ローハン)コンビで映画化したティーン向けのコメディ。リンゼイ・ローハンは、今年のMTVムービー・アワードの司会も務めるなど、人気急上昇中です。

 アフリカに住むキャシーは、動物学者の両親に自宅で教育を受けていたが、17歳を機にアメリカに戻り、高校に入学する。学校生活は初めてのキャシーには、何もかもとまどうことばかり。規則は多いわ、先生は子供扱いするわ、ランチタイムにどこに座るかまで、派閥同士の暗黙の了解で決まっていて、好き勝手にできない。キャシーはクラスのはみだし者コンビ、ゴス少女のジャニスとゲイのダミアンと親しくなるが、ひょんなきっかけで学校の女王様トリオのグループ、“プラスチックス”の仲間に入れてもらう。女王蜂的存在のレッジーナに恨みのあるジャニスにそそのかされ、グループの弱みを握るために仲間のフリを続けるキャシーだが、いつしかレッジーナたちの感化を受けて、すっかり彼女たちのような本物の"Mean Girl"(いじわる娘)になってしまうのだった。

 オタクとか、イケてるアジア人とか、似たもの同士で群れるのは、どこの国の学校でも同じだろうけど、こっちは更に、人種とか、貧富の差とか、宗教とか、人々を仕切る見えない壁が何かと多くて、それを乗り越えるのはなかなかしんどそう。数学のできるキャシーが、数学オタクのグループからコンテストに誘われると、みんなから「それは社交生活上の自殺行為と同じだ!」と言われるのがおかしかったです。さらに女の子の場合、仲間内でも男の子をめぐって嫉妬しあい、陰で悪口を言ったりとか、グループ内の小さな世界で視野の狭い行動を取ってしまいがちだけど、キャシーは苦い経験を通して、他人を貶めても自分が偉くなるわけじゃない、と学びます。コメディの形を借りて、ティーンの女の子が共鳴できるメッセージが込められています。映画館を出るとき、私の前の若い女の子がちゃんと扉を押さえててくれたのは、この映画の影響と思うのは、短絡過ぎ?

"Mean Girls"英語公式ページ

☆「ステップフォード・ワイフ」"Stepford Wives"

※ネタばれ!※

 アイラ・レヴィンの小説「ステップフォードの妻たち」を、ニコール・キッドマン主演でフランク・オズが再映画化したもの。1975年に製作されたオリジナル版は、日本未公開ですが、アメリカでは「ステップフォード・ワイフみたい」、と日常会話で慣用表現化してるぐらい割と有名なお話らしいです。知り合いの年配のアメリカ人女性は、「とっても変わった映画だったわ」と言ってました。

 ジョアンナ(キッドマン)は、飛ぶ鳥を落とす勢いのTV局エグゼプティヴだったが、不祥事の責任を取らされ、局をクビになる。ショックでノイローゼになってしまった妻のために、ウォルター(マシュー・ブロデリック)は仕事を辞めてコネチカット州のステップフォードに家を買い、一家で引っ越してくる。50年代で時が止まってしまったかのようなステップフォードの住人は、裕福な白人ばかり。サマードレスに身を包んだ美しい妻たちは、いつも笑顔で家事に励み、不平ひとつ言わない、完璧な家庭の主婦だ。男性天国のステップフォードで居心地がよさそうなウォルターとは反対に、そのあまりの不自然さに疑惑を深めるジョアンナだったが……。

 原作が書かれた当時盛んだった、ウーマンリブのアンチテーゼとしての意味合いはもう薄れているし、リメイクの宿命で、オチは最初からバレてる(しかも予告編でほとんどバラしていた)ので、パンチには欠けますが、ジョアンナたちのセリフや極端な行動がいちいち面白くて、年配カップルの目立つ客席は、大受けでした(今回ブラック・コメディとしてリメイクしてます)。私も楽しめましたが、「ロボットたちが暮らしてても目立たない場所といえば、コネチカット」とか、ネイティブじゃないとよく分からないギャグがいくつかありました。オープニングに、昔のコマーシャルフィルムのような、便利なキッチン用品に囲まれた女性が、満面の笑みを浮かべてスチュワーデスポーズを決めるフッテージがたくさん出てくるのですが、どの女性もマネキンかロボットみたいに不自然で、本当に当時のフィルムなのだとしたら、映画本編よりよっぽど不気味でした。あのオープニングで、観客の心をガッチリつかんだと思います。

 出演は、他にベッド・ミドラー、クリストファー・ウォーケン、グレン・クローズ、ジョン・ロヴィッツなど。音楽がダニー・エルフマンそっくりなんですが、「ゴジラ」のデイヴィッド・アーノルドでした。クリストファー・ウォーケンって、最近客寄せパンダのような扱いをされてる気がします。世界に一匹しかいない珍獣、クリストファー・ウォーケン。

「ステップフォード・ワイフ」公式ページ

☆「ガーフィールド」Garfield: The Movie

 コミックでおなじみガーフィールドが、CGアニメとしてスクリーンによみがえった──というより、ビル・マーレーが声をアテて、命を吹き込んだといった方が適当かも。自己チューで皮肉屋のぐうたら猫に彼の声はピッタリで、観てるうちにガーフィールドの顔が、不思議とビル・マーレーに見えてくるのです(^_^)。さらに、フサフサのトラジマの毛並みが、「モンスターズ・インク」以来可能になったCG技術により見事に再現(?)されていて、本当に実写の猫や犬たちと一緒に演技してるみたい。ボッテリ突きでたお腹もリアルで、もうムチャかわいかったです。踊るところは「ホワッツ・マイケル」そのまんま。「シュレック2」の長猫と、どっちがかわいいかしら? これはあくまでただのCGだけど、このリアル志向の強さに、「アンドロイドは電気羊の夢をみるか?」の世界が現実になるのも、そう遠い未来ではないんじゃなかろうか、とふと思ってしまいました。だって、ガーフィールド以外は、人間も動物もみんな実写なのですが、実写の犬や猫よりガーフィールドが欲しくなってきちゃうのです。

 悪者にさらわれた同居人の犬を助ける、というプロットは新鮮でも何でもないので、評価の分かれ目は、普段のガーフィールドのわがままお嬢様のような暮らしぶりが愛しく思え、楽しめるかどうかがだと思います。動物を主人公にした映画って、案外作り手の動物への愛を感じないんですが、これは伝わってきました。それはつまり、ガーフィールドが生き生きしてるってことなんでしょう。批評家受けは悪いけど、これは成功して欲しいです。色物系御用達女優、ジェニファー・ラブ・ヒューイットが、ミニスカ獣医さん役で出ています。

 併映として、「アイスエイジ」に出てきたリスの先祖みたいなヤツが主人公の短編がついていて、それは文句なく面白かったです。

「ガーフィールド」公式ページ

☆"The Saddest Music in the World"

 ガイ・マッデンというカナダの映画監督が撮った、かなりシュールなモノクロ映画。主演はイザベラ・ロッセリーニで、白黒画面の中の彼女は、彼女のお母さんそのままに優美です。

 世界恐慌のどん底時代のウィニペグ。男爵夫人でビール会社のオーナー、ポート(ロッセリーニ)は、ビールの売り上げ増のため(?)、「世界一悲しい歌コンテスト」を企画する。世界中から、賞金(「恐慌時代の2万5千ドルよ!」)目当てに演奏家たちが集まった。かつてのポートの恋人チェスターも、アメリカの興行師としてコンテストに参加していた。2人には苦い思い出がある。ポートはもともとチェスターの父親フィドル医師の恋人で、横恋慕されたフィドルは、事故にあったポートの両足を、酒に酔った勢いで切断してしまったのだ。コンテスト開催中、フィドルはポートに手製の義足を送る。それは、ビールを満たしたガラスで出来ていた。

 お話もシュールなら、美術もドイツ表現主義スタイルで、雪に覆われたウィニペグの町が「カリガリ博士」の世界になってました。歌同士を競わせるとか、歌そっちのけでおしゃべりをかぶせる解説者とか、勝者はビールのプールに飛び込む決まりとか、悲しみや恨みを込めた泥臭い民族歌謡が、アメリカのショーマンシップで洗練される代償に、魂をなくして空虚なエンタテインメントに変わってしまう様子に、予告編に映ったコアラのぬいぐるみを抱えたオーストラリアの歌い手につられて観にやってきたアホな私にも、映画の言いたいことが伝わりました。わたしも「アメリカン・アイドル」(アメリカの勝ち抜き歌番組)にはまって観てましたからね〜。

 意外だったのは、この変わった映画の脚本を、「日の名残り」のカズオ・イシグロが書き下ろしているということ。あと、「ヘンリー・アンド・ジューン」のマリア・デ・メロシュがあいかわらずかわいらしいメロン顔で出てます。

「"The Saddest Music in the World"」英語公式ページ

☆「リディック」(8月7日 日本公開!)"THE CHRONICLES OF RIDDICK"

 「ワイルド・スピード」でブレイクする前にヴィン・ディーゼルが出演して、存在感を印象づけたSF映画「ピッチブラック」の続編。2,3のキャラクター以外、シンプルだった前作とはストーリー的に何のつながりもなく、凶悪なエイリアンの襲撃から生き残ったリディック(ディーゼル)が、今度はネクロマンガーという凶悪な種族と闘います。ネクロマンガーは、人間の住む惑星を襲っては、「仲間になるか、死か」という二者択一を住民に迫る、ボーグが宗教がかったような軍団。物語の解説係を務める変幻自在で空気のような種族“エレメンタル”のジュディ・デンチによると、ネクロマンガーのボス、ロード・マーシャルは「半分人間、もう半分は“別のなにか”」の無敵の存在で、彼を倒せるのは、“フューリアン”という種族の末裔リディックだけだと予言します。

 観客の中で、ストーリーが分かった人が果たしているのか? いや出演者は分かって演じてるのか? ってくらい、何にも訳分かんなかったです。“別のなにか”って何? この人達は何でそんなことするの? なんでそっち行っちゃうの? ここはどこ? 私は誰?

 じゃあつまらないのかというと、そんなことはなく、忘我の境地の果てに悟りを開くように、ストーリーを追おうという意志を放棄した時(だいたい1時間20分後)、純粋にヴィン・ディーゼルのアクションと決めポーズ、やたら深い声から繰り出される決めゼリフの数々、凝った美術(ふくしま政美の「セント・マッスル」みたいなインテリアデザイン)や、カナダ1大きいスタジオで撮ったという派手な視覚効果に、頭を空にして身を任せる心地よさを知るのです。永野譲の「ファイブスター・ストーリーズ」を楽しむことが出来る人なら、この映画もきっと楽しめるに違いありません。

 評論家筋はやっぱり話の支離滅裂さにイラついて、「リディキュラス(リディックと“ばかげた”という意味のridiculousをかけてる」とバッサリ切ってます。製作者側は3部作にしたいみたいですが、続きが作られるかどうか、かなり微妙。出演者は他に、タンディ・ニュートンと「ロード・オブ・ザ・リング」のエオメル、カール・ウルバンが出てます。あと、ネクロマンガーの一人にロイ・バッティの不良品みたいな顔をしている人がいて、密かにひいきだったんですが、なぜか途中で焼身自殺しちゃってガッカリ。

「リディック」公式ページ

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ぢゃ、また来月。(6/22/04)

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