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■電気羊プロフィール
アニメーター、編集者を経て現在はフリーライター兼翻訳者のハシクレをしている。好きな映画は「ブレードランナー」、好きな役者はコリン・ファースと嵐寛寿郎。だんなについて、目下カリフォルニア州サンタクルーズに滞在中。せっかくなんで、コミュニティ・カレッジに通いつつ、映画三昧している。コリン・ファース主演作「フィーバー・ピッチ」で字幕翻訳家デビューを飾るのが夢。趣味はスキューバダイビングとビリヤード(どっちも超ヘタ)。日本から連れてきた耳垂れウサギを飼っている。

■過去記事一覧




































写真01
映画祭の切符売り場

写真02
AMC Kabuki Theater

写真03
『Cirkustour』ポスター
☆サンフランシスコ映画祭

 4月15日から29日まで、第47回サンフランシスコ国際映画祭を開催中です。今年はクリス・クーパーとミロシュ・フォアマンをゲストに招いて、トークと上映会(『メイトワン』と『ヘアー』)が行われます。一般上映作品は、パンフレットのリストを数えてみると113本ありました。邦画では 小林英幸の『マロニエ』、井筒和幸の『ゲロッパ!』、黒沢清の『ドッペルゲンガー』、廣木隆一の『ヴァイブレータ』、浅野忠信主演で台湾との合作『地球で最後のふたり』という通なラインナップ。リストを眺めていると、どれもこれも観たくなりますが、学生の身の悲しさ(宿題いっぱい!)、そうもいきません。日曜日の1日だけ、『Circus Cinematicus』と『Control Room』という作品を観ることにしました。メインシアターのAMCカブキ・シアターに行くと、ジャパンタウンではちょうどさくら祭りの真っ最中。屋台で買ったコロッケとあげもちがおいしかった〜!

『Circus Cinematicus』は、子ども向けの短編映画集。『Cirkustour』(デンマーク)は、サーカスの一日を描いたストップモーション・アニメーションで、なんと、観客もサーカス団員も、ゼンマイ仕掛けのブリキのおもちゃたちなのです。多彩&多才なおもちゃたちにビックリ。ペンギンの呼び子、ネズミのもぎり係(コインを載せるとネズミが持って行っちゃう仕掛け)、大きなスーツケースを抱えた少年の観客、ダッコちゃん人形みたいな乗客の観覧車。アヒルの団長、おさるの太鼓たたき(アジア製っぽい)、毛糸玉にじゃれるネコ、象の曲芸、ロシアの踊り子、羽をパタパタさせて拍手する鳥、ガバガバ酒をあおるサル…。ヒヨコの一匹がテントを抜け出して池に行くと、小魚を食べる魚やワニが泳いでいる。怪しげな紫色のテントの中では、ドクロが歩いてたり、歯がスパークする凶悪そうな尼僧が見せ物になっていた。基本的にはゼンマイの動きで、それに磁石か何かで動きに味付けしてあります。イースター・エッグ型のうさぎと、一人だけ大きいブタさん(これはブリキじゃなくて、プラスチックに毛並みを被せてあるやつ)がいい味出してました(^_^)。『Tarzan』(ドイツ)は、一発ネタが超面白い1分のとぼけたアニメ。『Disa Moves to Japan』(ノルウェー)は、4歳の少女ディサが、日本語を勉強にやってきたお母さんと一緒に日本にやってくるお話(ドキュドラマ)です。お風呂屋さんに行ったり(禁止っていわれたけど、泳いじゃえ!)、お寿司を食べたり(ノルウェーっ子だから生魚も平気!)、日本では月にいるのはウサギなのを知ったりと、異文化体験をするディサ。学校でバイリンガル教育の講座を取っているので、日本語を話せないディサが、幼稚園(しかも仏教系!)でどうやって他の園児たちと仲良くなっていくのかが、とても興味深かったです。園児たちは言葉じゃなくて、手をつないでコミュニケーションするのね。

 次は、ベイ・ブリッジを渡ってバークレーへ。バークレー大学内のパシフィック・フィルム・アーカイブ・センターに行くと、『Control Room』は残念ながらもう売り切れでした。これは、アフガニスタンとイラク戦争の報道で一躍世界に名を馳せた放送局、アルジャジーラの内部に迫るドキュメンタリー。人気があるのも無理ないですね。(ついこないだも、アシュクロフト長官が誰かが彼らを「ウソつき」呼ばわりしたとうニュースが流れてました)。またいつか観る機会があるでしょうか。
 さあて、次は5月のサンタクルーズ映画祭だ!?

San Francisco International Film Festival第47回公式サイト

☆『エターナル・サンシャイン』Eternal Sunshine of the Spotless Mind

 チャーリー・カウフマン&ミッシェル・ゴンドリーの新作です。ジム・キャリーは、前作『ブルース・オールマイティ』がノレなかったので心配しましたが、これは大丈夫でした! すごく良かったです。キャリーが、というより映画が、ですけども。  『マルコヴィッチの穴』のカウフマンが書いた脚本は、始めと終わりの境界があいまいになって、頭がこんがらがります。ケミカル・ブラザーズやビョークのミュージック・クリップを作ってきたミシェル・ゴンドリーの撮った映像も、始めと終わりが繋がって延々続く「ウロボロスの蛇」状態で、目まいがします。タイトルは、アレクサンダー・ポープの詩の一節から取ったそうです。  ケンカをした後、恋人のクレム(ケイト・ウィンスレット)が、記憶消去クリニック(というのがあるのです、この映画の中では)で自分の記憶を消したのを知ったジョエル(ジム・キャリー)は、自分もクリニックに行って彼女の記憶を消してもらいます。睡眠中に記憶消去の処置を受けるジョエル。1つ1つ、クレムとの思い出が消去されていくうち、潜在意識の中のジョエルは、消して欲しくない大切な思い出があるのに気づいて、技術者の手の届かない、クレムと出逢う以前の子ども時代の記憶領域へクレムを隠そうとします。この、ジョエルの頭の中での追いかけっこが映画の醍醐味で、『マルコビッチの穴』やゴンドリーのミュージック・クリップを観た人なら判ると思いますが、出口を出たはずなのに入り口に戻っちゃったみたいな、エッシャーのだまし絵のような不思議な感覚の映像が次々に続いて、とっても楽しいです。  『メメント』や『ペイチェック』、アダム・サンドラーの"50 First dates"(くだらないおちゃらけコメディだけど、本作と合わせ鏡的な内容でした)など、記憶をなくしたり、いじくったりするお話の映画、最近多いです。失われていく記憶を救おうとするところは、エンデの『ネバーエンディング・ストーリー』を思わせます。こっちはいじめっこに仕返しどころか、大人の姿でもやっぱりボコボコにされちゃうんですけど(^_^)。  クリニックの受付嬢役にキルスティン・ダンスト、クレムに横恋慕する若者役にイライジャ・ウッド、医者役にトム・ウィルキンソンが扮してます。  出逢ったときはあんなにときめいて、最初の頃はあんなに楽しかったのに、どうしていつしかケンカばかりするようになってしまうのだろう? 苦い記憶を消してしまえば、やっぱりまた同じ相手と引かれあうのだろうか? スガシカオじゃないけど、「愛について」ちょっと考えたくなってしまう映画です。
"Eternal Sunshine of the Spotless Mind"英語版公式サイト。

☆Japanese Story

 オーストラリアに観光にやってきた日本人ビジネスマンと、その運転手役を仰せつかった女性地質学者のコミュニケーションを扱った、逆『ロスト・イン・トランスレーション』。  でも、『ロスト〜』のような、ほろ苦い、口当たりのよい上品な作風を期待すると、裏切られます。同じ女性監督の手になっても、こちらはオーストラリアの大地のように荒削りというか、「むきだし」です。  とある企業のソフトウェア部門に勤める地質学者のサンディは、物見遊山にやってきた日本人ビジネスマン、タチバナ・ヒロミツの運転手役を、上司からおおせつかる。タチバナは大口株主の息子なので、ご機嫌をとらねばならないのだ。空港から降りたのは、ビジネススーツにカメラをぶら下げた、典型的な日本人ビジネスマン。握手の代わりに名刺を差し出し、分かっているのかいないのか、何を聞いても「ハイ、ハイ」しか言わない。車に乗せればおもむろにケータイを取り出し、日本にいる「鈴木」と日本語で「気が強い」だの「尻がでかい」などサンディの悪口を言う(サンディは日本語分からないけど)、不愉快度120%の奴だ。オーストラリアの広大な風景を見て「何もなくて不安になる」といいながら、サンディの警告を無視して砂漠の奥へ行きたがる。案の定、車が砂に足を取られてエンコしてしまい、どうやっても動かない。それなのに、「恥だから」とケータイを使って助けを求めるのを拒否するタチバナ。仕方なく、夜はマイナス5度になるという砂漠で野宿する2人。翌日、なんとか車を動かすのに成功して、最寄りのカフェで人心地着くと、タチバナは「俺が悪かった」とサンディに謝る。  タチバナのうちとけなさぶり、いんぎん無礼ぶりが、なんだかとっても日本人で、いいです。少し日本人像が古すぎる印象を始めは受けるかもしれないけど、欧米人から見た日本人像って、本質的には今でもこんな感じなのかと思うし、自分の中にもああいう部分はあります。若い人たちはピンとこないかな? 彼のしゃべる英語も、私と同じレベルで、さらに親近感が沸きます。まるきり自分のしゃべる英語を聞いてるみたいでした(^_^;)。そうか〜。食後のデザートと砂漠のデザートは発音が違うのかあ〜。英語コーチのお返しに、「はい」の意味を教えてあげるタチバナ。  その夜、すぐ2人がベッドインしてしまうのが、ちょっと抵抗あります。なんでそうなるのぉ? でも、竹を割ったようなサンディと、華奢で目のつぶらなタチバナは、なんだか男女の立場が逆転したみたいな関係で、そこは面白いです。そしてさらにこの後「どぇ?」となる展開が待っており、真の物語はそこから始まるといっても過言ではないのですが、もしかして日本で公開される可能性があるかもしれないので、伏せておきます。  サンディ役のトニ・コレット、すごいです。監督のスー・ブルックスも言ってますが、ホントにこの人は醜く見えるショットがあっても気にしない、希有な女優さんです。タチバナ役は、綱島郷太郎という人です。社交上手じゃないけど決して無神経なのではないタチバナというキャラクターをしっかり演じてて、やはり素晴らしかったです。あと、後半重要な役で日本人女性が出てくるんですが、この人もかわいらしい丸顔がコレットと対照的で、よかったです。音楽に、なぜか沖縄民謡が使われています。坂本龍一の曲も使われてるようですが、それがそうなのかなあ? オーストラリアAFI賞を8つ受賞した作品です。

"Japanese Story"英語版公式サイト。

☆Hellboy

 カルト人気のアメコミが原作の、SFアクションです。  1944年、ナチスは怪僧ラスプーチンの黒魔術の力を借りて、異次元=地獄から悪魔を召喚しようとしていた。危機一髪でアメリカ軍が企みを挫くが、短時間ながら異空間に繋がった穴から、異形の者が侵入してしまった。赤い肌にコブのような突起を持つその生き物はまだ赤ん坊で、アメリカ軍に同行していたブルーム教授(ジョン・ハート)がキャンデーバーで手なずけるのに成功。教授は赤ん坊に「ヘルボーイ」と命名する。  現代のアメリカ。成長したヘルボーイ(ロン・パールマン)は、ブルーム教授率いる政府の秘密機関、超常現象調査局の懐刀として活躍していた。博物館で起きた怪事件を追うヘルボーイたちは、事件の裏で糸を引くのが、蘇ったラスプーチンだと知る。事件はやがて、地球の命運をかけた因縁の対決へと発展していくのだった。  この手の映画にしては、珍しく好意的な評価を受けています。秘訣は、コワモテの外見とは裏腹に、ジャンクフードと猫が大好きで、精神年齢は子どものままの、ヘルボーイのキャラクターにありそう。闘いながら必ずキメるユーモラスなセリフ(タフガイぶりたい子どもの吐きそうなセリフのオンパレード)や、思いを寄せるリズ(セルマ・ブレア)が新米FBIのジョン(ルバート・エヴァンス)と外出したのを秘かに尾行し、子ども相手に悩みを打ち明けて慰めてもらうヘルボーイの姿に、観客は愛着を抱いたようで、よく笑いが起きてました。ロン・パールマンのヘルボーイは原作にそっくりだけど、もう少し尻尾を強調して欲しかったです。  ヘルボーイは実はあんまり強くなくて、敵のラスプーチンや、彼が操る忍者のような部下やモンスターの方がずっと手強いです(彼の存在理由は戦闘のためではないので、それもまあ頷けます)。調査局には他に、半魚どんのエイブと、ファイヤースターターのリズがいて、中では情緒不安定なリズが一番強く、ビジュアル的にも一番カタルシスがあります(ファイアスターターってなぜかいつも女だなあ)。おとなしく、テレパシーで過去の出来事が読み取れるエイブは、声だけデヴィッド・ハイド・ピアース(『フレイジャー』のナイジェル)がアテています。ヘルボーイのお守り役をおおせつかったジョンは、彼のジェミニ・クリケット的役割を果たします。セルマ・ブレアは、『クルーエル・インテンションズ』や『クリスティーナの好きなコト』など、ちょっと可哀想なほどこっけいで品のない役回りが多いけど、独特の顔がリズ役にうまくはまっていました。トークショーに出ていた彼女を見ると、あけっぴろげで、演じてきた役柄に近い性格みたいです。フランク・ザッパの息子と8日間デートしただけで結婚を決めたと言ってました。  まあまあ楽しめましたが、敵の存在と目的がミステリアス過ぎて、物語世界に入りこめないのは痛いです。あとこういった、最初から最後まで一本調子に暗すぎ、凄惨過ぎる画面が続くと、すごく疲れます。時々お日様の光が見たくなります(健全だなあ>自分)。

『Hellboy』英語版公式サイト

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